ホラー[文芸]

聖女の水は、夜になると赤くなる

森の中に残された、古い療養院。

 聖女に選ばれたばかりのリナリアは、濁った井戸を清めるため、神官とともにその建物を訪れる。

 患者はもういない。

 呼び鈴を鳴らす者も、いるはずがない。

 それでも夜になると、誰もいない病室から鈴が鳴る。

 洗面台からは赤い水が流れ、濡れた子供の足跡が廊下を歩いていく。

 神官は言った。

「古い配管の錆です」

 けれど、療養院の記録からは、一冊の帳簿が失われていた。

 百年前、ここで何が起きたのか。

 誰が呼び鈴を鳴らし続けているのか。

 そして聖女に求められている「清める」とは、本当は何を消すことなのか。

 赤い水と、百年間鳴り続けた呼び鈴をめぐる、制度ホラー。

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短編 2026/07/24 02:00更新
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最終取得日時:2026/07/25 12:05
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