異世界[恋愛]

私はそこにあるものを、見なかったことにしたはずだった

 とある国の、花も恥じらう乙女と言われる年代の私は、学園に通う伯爵家の娘の一人だ。

 私が人と違うことの一つは、領地が水害続きで家が貧乏であること。もう一つは、八歳になった感謝を神様にお伝えするこの国伝統の礼拝のときに、神様から加護を授かったことだ。

 神様からの加護は、数年に一人授かることが出来るか出来ないかの奇跡だ。ただ、残念ながら、私が授かった加護は、この国の歴史書に記されているような、素晴らしい加護ではなかった。

 父母の話では、私が加護を授かったという噂の広がりとともに、怒涛のように押し寄せた婚約話は、私の加護の内容が知られたとたんに、潮のように引いていったそうだ。子供だった私には、関係のないことだ。

 成長するにつれ、私のことを残念な加護持ちと、人々が噂していることを知ったが、私にはどうでもよかった。貧乏なのに、学園に通わせてくれた両親と兄のために、私は真面目に学園に通い勉強した。家族に経済的な負担をかけないために、神様から授かった加護を、私のお小遣い稼ぎに活用した。

 これは、そんな私の日常を、神様が私に授けてくださった加護が、叩き壊してくれたお話である。



カクヨム にも投稿しています。カクヨム週間ランキング 恋愛で、64位をいただきました。
お読みいただけましたら幸いです。完結まで投稿しています。

【追記】エンジェライト文庫様より、電子書籍化決定しました。皆様のお陰です。ありがとうございます。現在、準備の段階ですが、本当にありがとうございます。

残酷な描写あり / 身分差 / ヒストリカル / ほのぼの / シリアス / 女主人公 / 男主人公 / 西洋 / 中世 / ハッピーエンド
全34話完結 2022/08/21 07:00更新
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最終取得日時:2024/05/17 12:56
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