風詠と蟲姫
序章
崖の国のセリム
小国である崖の国の心優しい王子セリム。セリムは生物や植物研究を好む変わり者。風と国をこよなく愛している。
そんなセリムが国外で「蟲姫」と呼ばれる不思議な少女と出会う。住む世界が違うが惹かれ合う二人に、不穏な影が忍び寄る。
西の大国に対する侵略戦争が近いという噂
開戦すれば大陸情勢が大きく変わり、小国である崖の国は巻き込まれて吹き飛ぶと、セリムは西へ旅立つ決意をする。
胸に灯すのは崖の国の王族の信念
「生きている尊さを愛し、人を愛し、生き物を愛でる。心臓に剣を突きつけられても真心を忘れない。憎しみで殺すよりも許して刺されろ。憎悪では人は従わない。敵に真心を捧げ、憎しみを受け止めて許しを選ぶ」
民を守るために日々努力してきた。崖の国に戦争の火種が来る前に消す。セリムは大陸情勢を動かす大戦を止めるべく飛び出す決意をする。
「蟲姫」とは何なのか?
時代が幕を開ける前のセリムと蟲姫の出会い。時代の大渦、激動に影響を与える布石。
二章〜
新たな時代の幕開け。
燃えるような信念抱く者達が、セリムの信念に影響を受けながら歴史を動かす。
●大狼と名乗る皇子
「何度でも疑え、罵れ、石を投げ、弓を引き、火を飛ばせ。何をされようが構わん。俺はそんなことに頓着しない。信じるのは己のみ。己が選んだものは決して裏切らない。大狼の矜持は次へと続く命の灯火。俺はこの世の全てを掌に乗せる」
●至宝と呼ばれる大国の御曹司
「他国の戦に関与するべからず。侵略するべからず。先制攻撃するべからず。それが国の大掟。争わないようにと考えるのが何が悪い。血が流れないようにと願う事が悪い筈がない。欲しいものはより良い国、より良い世界。明るい希望の世界。鮮やかな世界」
●陰謀渦巻く国に生まれた醜い姫
「この世は因縁因果、生き様こそがすべて也。裏切りには反目。信頼すれば背中を預ける。刃突き刺されようとまず信頼を示す。さあ殺せ。殺してみろ。殺せるものなら殺してみろ。悪蛇の毒牙で貫けぬ生き様見せる」
ーー全ての命は愛に燃える
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