異世界[恋愛]

101回目の婚約破棄――最後まで聞いたら巻き戻るので、今度は途中で遮ります

婚約破棄というものは、一生に一度でもあっていいものではない。
それなのに私は、現実で一度、異世界で百回、婚約破棄を聞かされることになった。

現実世界で婚約者に別れを告げられ、意識を失った私が目を覚ますと、そこは異世界の夜会だった。
金髪の王子が、私に告げる。

「君との婚約を破棄する」

婚約破棄を最後まで言い切られるたび、低い鐘が鳴り、私は夜会の前へ戻される。

泣いても、怒っても、逃げても、証拠を出しても、先に婚約解消を申し出ても、最後には必ず同じ言葉を聞かされる。

百回目。
やけになった私は、菓子卓の粉砂糖を王子へ振りかけた。
王子はくしゃみをして、婚約破棄を言い切れなかった。

その瞬間、いつもの鐘は鳴らなかった。

そこで、ようやく気づいた。

婚約破棄されたから巻き戻るのではない。
婚約破棄を、最後まで聞いていたから巻き戻るのだ。

百一回目。
私は初めて、その言葉を遮る。

「そこまでにしてもらおう」

これは、婚約破棄される役目を降りた私が、異世界でも現実でも、自分の人生を取り戻す話。

次作「101回目の離縁――「愛していない」と言い切られたら巻き戻るので、今度は離縁届を先に出します」が公開中です。シリーズ「恋愛小説のはずでした」よりどうぞ。

異世界転移 / 女主人公 / ハッピーエンド / 悪役令嬢 / 婚約破棄 / ループ / 王子 / 公爵令嬢 / ざまぁ / 粉砂糖 / 最後まで聞かない / 現実帰還
短編 2026/07/06 19:00更新
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最終取得日時:2026/07/25 12:06
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