ホラー[文芸]
鵙の呼び声
鵙(もず)神社の来歴についてここに簡記する。
神社に関する最も古い記述は室町時代にまで遡る。
当時、神社は土着の山神信仰の場として細々と機能していたに過ぎなかった。
麓の村の主産業である養蚕の成就を山神に祈ったことがそもそもの起こりとされる。
その村を野盗が襲った。
絹を奪い、女子供を拐かした。
果てぬ怨嗟の中、村人は神に祈った。
野盗を殺してくれと。
程なく、野盗の頭目の死体が上がった。
松の木に喉を刺し貫かれ、風鈴のように揺れる亡骸を見て、誰かが言った。
鵙の早贄のようだと。
以来、神社は鵙神社と号した。
時は流れ、明治時代になると、養蚕が立ち行かなくなった。
村の蚕が悉く死んだ。
蚕が尽き、絹が尽き、飯が尽き、金が尽き、
飢えと恐怖に錯乱した村人の間に死が蔓延した。
人々は再び鵙神社を顧みた。
そこに現れたのが、鵙の巫女と呼ばれた娘である。
その余りの忌まわしさゆえか、
中てられたように村は次第に狂っていき、
結局、
地図から消えた。
それから百年余りが過ぎた現代において。
三体の自殺体が発見される。
彼らは一様に、己が手で耳と目と鼻を引き千切って死んでいた。
――その神社は、殺意を内包している
R15 / ホラー / 夏のホラー2014 / 推理 / ダーク / 民俗学 / 神社 / 信仰 / 刑事 / 大学生 / 妖怪 / スプラッター
全8話完結
2014/08/10 00:38更新
36,484字 (4560.5字/話) 13%
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最終取得日時:2026/10/03 03:28
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