純文学[文芸]

謎の風土病

絹がこの北山家に嫁いで、もう七年になる。地主の一人息子であった春光と恋に落ち、やって来たのは十六の時。初恋だった。春光が他の女性と浮気をしていると知ったのは、正春が生まれてすぐのこと。

義母は正春を自分の子のように育てた。
「絹さんでは難しいでしょう。私が教育してあげます。あなたの仕事は、春光と正春ちゃんが暮らしやすいように家の環境を整えることよ」
正春が義母の元で学び、寝食までともにしている間、私は近所づきあいや屋敷の管理、北村家の味を覚える為の料理の特訓などで日々を追われた。

もう何年も、どろりとした感情が胸にこびりついている。

そんな時、使用人の澄子からこの土地の風土病の話を聞く。

「この辺りでは昔から、手足の先や鼻がぱんぱんに腫れるっていう病気があるんです。治りが遅い上に激痛で、痛みに耐えられず衰弱死した人もいるとか。しかも——」

澄子は口元に右手を当て、絹の耳に顔を近づけた。

「男性器まで腫れるそうなんです」

手足の先、鼻、男性器の腫れが一カ月以上続く謎の風土病。


これをきっかけに絹は北村家での実権を握っていく。

R15 / シリアス / 女主人公 / 和風 / 明治/大正 / 日常 / 嫁姑 / 浮気 / ざまぁ / 悪女
短編 2025/08/25 17:20更新
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最終取得日時:2025/09/06 12:05
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