ヒューマンドラマ[文芸]

名は体を表しすぎる

 ある時期から人間は、親から付けられた自分の名前に引っ張られるようになった。
 なったものはなったのだ。原因が分からない以上、神の仕業とでも考えて、人々は災害と同様、受け入れる他なかった。
 名前に引っ張られるとはどういうことか。美佳という名前の女の子は美しく、力也という名前の男の子は力持ちに、知穂という名前の女の子は賢くなった。つまり『美』『力』『知』などを名前に付けると、それが赤子の時点から反映され、成長するとともに如実に表れるようになったのだ。
 ちなみに『大悪魔』と名付けられた子は、極悪人になった。
 もっとも、どれだけ素晴らしい名前を付けたからといって、まるっきり両親の容姿や能力を無視できるものではなかった。同じ『勉』という名前でも、勉強が得意な子と勉強は好きだがさほど頭はよくない子など、名前の影響はあるものの、個人差は存在した。それは、もちろん前述の『美』や『力』も同じだった。

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短編 2024/07/01 11:00更新
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最終取得日時:2025/07/09 12:26
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