空想科学[SF]

母の日のプレゼントが買えません。買った瞬間、母に通知が行くからです

去年の母の日、僕のサプライズは、渡す三十分前にバレていた。

花屋のレジにスマホをかざした瞬間、母さんのスマホが鳴ったからだ。『ユウタさんがカーネーション(一本・四百九十八円)を購入しました』。

現金が消えたこの国では、子どもの買い物はぜんぶ、保護者のアプリに通知される。いつ、どこで、何を、いくらで。見守りは完璧だ。悪いことは、何もできない。

——内緒のいいことも、できないってことに、大人は気づいているんだろうか。

今年こそ母さんを驚かせたい僕は、友達に代理購入を頼んで失敗し、手作りの肩たたき券も「ログが残らない」と却下され、単身赴任の父さんにも断られて、途方に暮れる。

そんなとき、商店街のいちばん外れで、レジのない店を見つけた。

店番のばあちゃんは、カウンターの下から古びた帳面を出して、こう言った。

「はらいは、そのうちでいいよ」

通知されない贈り物と、数字では返せない「ツケ」をめぐる、すこしふしぎな近未来の話。

近未来 / 日常SF / すこしふしぎ / 社会風刺 / 人情 / ほのぼの / 男主人公 / 少年 / 母の日 / 駄菓子屋 / キャッシュレス / 見守りアプリ / 恩送り / 親子 / ハッピーエンド
短編 2026/08/19 18:00更新
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最終取得日時:2026/09/04 12:06
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