異世界[恋愛]

敗北令嬢の立ち居振る舞い

 ベアトリス・ナミュールは敗者だ。

 王太子の婚約発表の夜会にて。アデルバートは、マリー・ベルティエという子爵令嬢を連れていた。

「ねえ、知ってる? あのマリーって子、ベアトリス侯爵令嬢が付き従えてた令嬢なんでしょ?」
「じゃあ、自分の連れに抜け駆けされちゃったってこと?」
「最初の頃はベアトリス様が婚約者になる予定だ、なんて言われてたのにね」

 まさしく、婚約者を奪われた敗北令嬢として。
 ベアトリスは社交界の場で後ろ指をさされていた。

 だが、それでもなお。
 ベアトリスは、凛と立ち。堂々と、真っ直ぐに前を見据えていた。

 それは、ベアトリスが「未だなに一つ諦めていない」からであり。
 同時に。それこそが「敗者」の在るべき姿である、と。

 ――勝者には、花道があって然るべきだ。

 これは、ベアトリス・ナミュールという敗北令嬢の。
 矜持と信念による、立ち居振る舞いである。

集英社小説大賞6 / 123大賞6 / GOマンガ原作者大賞 / BK小説大賞 / ESN大賞8 / ネトコン13感想
全26話連載中 2025/06/17 07:30更新
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最終取得日時:2025/06/20 12:14
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