異世界[恋愛]

お姉様は怒らないから、って言われ続けたので

イーディトは、妹の代わりに二十二回、頭を下げた。
そのうち十一回は、同じ男の卓に瓶を置いた。

妹のズザンネが何かを壊すたび、誰かを泣かせるたび、姉が詫びに行く。相手の好みを聞いて香を調え、瓶を卓に置いて、こう言う。
「妹が失礼をいたしました」

棚には、二十二本の瓶が並んでいる。

そうなったのは、イーディトが八つの日からだ。母が妹に言った。
「イーディトは怒らないから、大丈夫よ」

二十三回目が来た。ズザンネが侯爵夫人の茶器を割った。三代前から伝わる一揃いだった。

イーディトは、香を調えなかった。
それでも、茶会には行く。

妹の隣に立って、黙っているために。

――そこには、二十二回のうち十一回、彼女の詫びを受け取ってきた男もいる。
ロッテルは十一本ぶん、たったひとつのことを訊けずにいた。

わたくし、今回は参りませんの。
割ったのは、あなたですもの。

異世界転生 / BK小説大賞2 / シリアス / 女主人公 / 西洋 / 中世 / ハッピーエンド / 身分差 / ざまぁ / ざまあ / 姉妹格差 / 令嬢 / 家族 / すれ違い / 自立 / 純愛
短編 2026/07/31 22:00更新
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最終取得日時:2026/10/08 12:09
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