異世界[恋愛]

「妹が来るまでの繋ぎだ」と言われた身代わり花嫁ですので、繋ぎの務めを切れ目なく果たしました――妹が着いた日、屋敷に妹の席はありませんでした

「妹が来るまでの繋ぎだ。名だけの妻でいい」

王命の期日に辺境伯家の門をくぐったのは、証文の花嫁ではなく、その姉だった。妹は、王都の社交期が終わるまで来ない。伯爵家の家政を十年回してきたルシエンヌ、二十七歳は、頭を下げた。

「承知しました。繋ぎでしたら、切れ目なく務めます」

繋ぎの務めとは、切れ目を繋ぐことである。

翌朝から、屋敷の切れ目を一つずつ繋いだ。三月滞った給金を払い、止まっていた薪の道を開き、閉じていた陳情の戸を開け、冷えた食卓に火を入れる。兵の鍋で済ませていた夫は、初めて食卓に来て、初めておかわりを言った。

初雪の夜。帳を付ける手元に、夫が薪を一本足す。

「繋ぎに、これは含まれるか?」
「含みます。切れ目ですから」

そして、妹が着いた日――

「お姉様、繋ぎをありがとう。離れは、用意してくださったのでしょう?」
「はい。薪が三月分、乾いております」

使用人は妹を客として迎え、領民は妹を知らず、食卓に、妹の席は無かった。

名だけの妻、と言った夫が、妻の名を自分の手で書くまでの三十日。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
https://ncode.syosetu.com/n9233mr/
にて、連載版を開始しました
頑張って書いていきますので、ぜひ読んでくださいね

コミックルーム大賞 / ESN大賞11 / 女主人公 / ハッピーエンド / 身代わり / 溺愛 / ざまぁ
短編 2026/09/03 01:16更新
6,147字 65%
日間P
10
総合P
406
ブクマ
4
平均評価
6.75
感想数
0
レビュー
0
評価頻度
1475%
評価P
398
評価者数
59
週間読者
3,227
日間イン
1回
ベスト
192位
最終取得日時:2026/09/09 12:05
※googleにインデックスされているページのみが対象です