航跡 ヴァナヘイム国興亡記
その知将、天才にしてぐうたら。
群像劇として描かれる本格戦記。
頭脳と頭脳がぶつかり合う心理戦と戦略戦が、壮大な世界を舞台に展開する。
四百年にわたり五大陸七大海を統治してきた大帝国――その支配が、いま揺らぎ始めていた。
広大な草原に育まれた騎馬民族国家。
四方を海に囲まれ、船とともに生きてきた海軍国家。
風雪に鍛えられた精強な将兵を擁する寒冷地国家。
各地で国々が威信をかけ、次々と立ち上がる。
本作が描くのは、そのうちの一幕――反帝国の狼煙を上げた内陸の小国家・ヴァナヘイムにおける攻防である。
帝国は討伐軍を派遣し、ヴァナヘイムはこれを迎え撃つ。
戦局は、まるで対局盤の上の駒のように揺れ動く。
主人公は、紅髪長身のぐうたらな知将。
暇さえあれば寝てばかりだが、目を覚ましたわずかな時間だけ、天才的な閃きを放つ。
彼が先任参謀として策を巡らせた帝国軍は、序盤こそ主導権を握り、各地で勝利を重ねる。
だが勝利に酔った帝国上層部は派閥争いの末、このぐうたら知将を総司令部から外してしまう。
一方その頃、敗北を重ね王都目前まで追い詰められたヴァナヘイムは、黒髪中背の青年将校を総司令官に抜擢するという大胆な人事を断行する。
糞真面目な青年司令官に反発していた古参の猛将たちも、各地で帝国軍を破る彼の采配を目の当たりにし、次第に認めざるを得なくなっていく。
帝国優勢だった戦局は、いつしかヴァナヘイム優勢へと傾き始める。
各地で帝国軍は撃破され、将校クラスにも戦死者が続出。ついに帝国は、ぐうたら知将を中央へ呼び戻す。
そしてついに、戦場で相まみえるぐうたら知将と青年将校。
突飛な発想から生まれる奇策と、用兵の天才が繰り出す重厚な正攻法。
国家の存亡を賭け、知将は黙考し、勇将は咆哮する。
次の一手をめぐる盤上の応酬は、まさに智将どうしの激突。
名将の采配は、芸術的ともいえる大軍の進退を生み出す。
戦記を彩るのは、女性士官、奥方、美少女たち。
彼女らは、ものぐさな知将と糞真面目な青年の行く末を、どこか気にかけている様子。
青年将校、老将軍、婦人から少女まで――数多の人物が織りなす群像劇型の本格戦記を、存分にご堪能あれ。
565,250字 (1483.6字/話) 18%