異世界[恋愛]

「何も起きなかった日は、仕事とは言わない」と婚約破棄された私の、最後の一日です

「お前がいた七年で、一度でも何か起きたか?」

建国祭の壇上で、婚約者はそう言って笑った。

一度も起きていない。

私がそうしてきたからだ。

七年間、私は風と雲を読み、雨の時刻と行き先を決めてきた。

うまくいった日には、何も起きない。

彼が選んだのは、両手を掲げるだけで空を晴らせる聖女だった。

歓声の中、私だけが東の空を見ていた。

雨雲は消えていない。

一つに集められ、押し出された先は、王都の下町だった。

そのまま落ちれば、下町に住む数千人が水に沈む。

麦畑へ流せば、王都の秋が消える。

被害を出さずに受けられる場所は、王都に一つしかなかった。

「見ろ、この広場を」

そう彼が誇った、建国祭の会場だけだった。

これが、私が彼のために空を見る最後の一日になった。

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短編 2026/08/08 20:01更新
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最終取得日時:2026/08/10 12:05
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