「ねえねえ熊谷くん、熊谷くん」「な、何か御用ですか？」「次の授業で使う教科書なんだけどさ、私ド忘れちゃったみたいで……」「ああ、なるほど……」「だからさ、ちょっとだけ見せてもらっていいかな？」「ああ、なるほど……ってえぇ！？」　綾瀬さんって友達たくさんいるし、今のうちに他クラスから借りてくればいいのに、どうして席が隣の俺に見せてもらおうとするんだろうか。……でも一つだけ心当たりがある。そうだ、あの日だ。バイト中の素顔がバレてしまったあの日から、学校一の人気者―――綾瀬未優が俺に話しかけてくるようになったんだ――――――。

これ物語は、陽キャを目指す少年とその彼に一目惚れしてしまった少女が織りなす甘いひと時である。


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