『「害虫駆除」スキルでスローライフ? 私、害虫(ドラゴン)も駆除できますが』
【追放令嬢のスキルは【害虫駆除】!? ――いいえ、それは王国(みんな)の『ごはん』と『未来』を育てる、最強の『農協(チート)』スキルでした!】
「貴様の地味なスキルは王家の恥だ!」
王立学園の卒業パーティーで、第一王子アルフレッドから突きつけられた、婚約破棄と国外追放の宣告。 公爵令嬢ファティマ・フォン・バルケンは、ただ【生活魔法:害虫駆除】という「外れスキル」 を授かったというだけで、聖女セシリア の【豊穣の祈り】 を妨げる「呪い」の濡れ衣を着せられ、すべてを奪われた。
護送馬車で送られた先は、作物も育たない「不毛の赤土」 が広がる最果ての辺境、バルケン領。 さらに、崖崩れの事故に巻き込まれ、ファティマは命を失いかける。
――その瞬間、彼女は“すべて”を思い出した。
自分が、日本の「農協(JA)」に勤務し、土と組合員(なかま)のために軽トラを走らせていた「畑中みのり」 であったことを。そして、交通事故で死んだ 自分が、この異世界に転生していたことを!
目の前には、地力を失った「死んだ赤土」。畑を食い荒らす「害虫(イナゴ)」と「害獣(ネズミ)」の大群。そして、すべてを諦めた「死んだ目」の領民たち。 絶望的な状況。
だが、ファティマ(みのり)の「農協魂」は、燃え上がった。
「――私の『畑(現場)』を荒らすな!」
前世の「農業知識」と、追放理由となった「外れスキル」が融合した時、奇跡が起きる。 【害虫駆除】は、イナゴやネズミはもちろん、知性を持つ魔物(ゴブリン)、王家の騎士団が放つ「害意」、果ては伝説の「古竜(ドラゴン)」 までをも「害獣」「害竜」として認識し、一喝で退ける「最強の守護結界(テリトリー)」だったのだ!
「聖女の祈りなんて、まやかしよ!」
一方、ファティマを追放した王都は、聖女の祈り(=地力の“前借り”ドーピング) の副作用で急速に大地が枯渇。未曾有の「大蝗害」 が発生し、王国は「緑」のすべてを失い、壊滅する。
「飢え」に苦しむ王国が、唯一、豊作に沸くファティマの「バルケン農協(JA)」 に、「食料」と「未来の種籾」を乞うことになるのは、もはや必然であった――。
泥だらけの追放令嬢(中身:農協職員)による、本格・お仕事ファンタジー、ここに開墾(かいこん)!
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