ヒューマンドラマ[文芸]

ゴミ屋敷

 ……頭が痛い。胃がむかむかする。ああ、気分が悪い。おれはいつも昼頃に起きるのだが、今日は外の騒ぎに叩き起こされた。いったい何なんだ、また誰かが文句を言いに来たのか。……いや、一人や二人ではなさそうだ。ついに近所の連中が集まって抗議に――

「おい、何だ! 誰だ!」

 突然、スーツを着た男と他にも数人が家の中に入ってきたので、おれは咄嗟に身構えた。

「ご覧ください! こちらが今話題となっている現代社会の病理と孤独、そして批判を表現した壮大なインスタレーションです!」

「は、はぁ?」

 おれは顔にライトの光を当てられ目を細めた。手で光を遮り、目を凝らす。今喋った男は手にマイクを持っているようだ。そして、肩に大きなカメラを担いだ男もいる。どうやらニュース番組の撮影クルーのようだ。
 またか。前にもこんな連中が家の周りをうろちょろしていたことがある。その時は怒鳴って追い返してやったが、また来たのか。しかし、いくら家の外まで物があふれていて、鍵どころかドアを閉められない状況だとはいえ、人の家に勝手に入っていいはずがない。だからおれは言った。

「おい、取材許可なんて出してないぞ! 今すぐ出て行け!」

「いやぁ、素晴らしい芸術作品ですねぇ!」

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短編 2024/07/19 11:00更新
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最終取得日時:2025/07/09 12:25
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