異世界[恋愛]
色彩のない妻
「君との生活は息が詰まる。まるで灰色の壁と暮らしているようだ」
貧乏伯爵家の当主アランは、政略結婚で迎えた商家の娘・エレナに対し、そう言って離縁を突きつけた。
エレナは地味で、口数が少なく、来る日も来る日も帳簿と向き合っているだけの「つまらない女」だったからだ。
その「つまらない日常」こそが、何よりも得難い幸福だったと知る由もなく、アランは華やかで愛らしい恋人リリアとの結婚を夢見ていた。
エレナは静かに頷き、屋敷を去る。彼女が残したのは、一冊の分厚い『家計簿』だけだった。
エレナがいなくなった翌日から、アランの生活は音を立てて崩れ始める。
当たり前に出てきていた温かい食事、整えられた寝具、季節の花々。それらが「魔法」ではなく、エレナの緻密な計算と労働によって維持されていたことに気づいた時、アランは既に全てを失っていた。
シリアス / 女主人公 / ハッピーエンド / ざまぁ / 離婚/離縁 / 職業もの/商人 / 経営 / 因果応報 / 元サヤなし
短編
2025/12/15 20:11更新
4,466字 27%
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最終取得日時:2025/12/17 12:05
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