婚約破棄された加護なし令嬢、前世の知識で絶品あったかご飯を作ります~無理矢理嫁がされた極寒の隣国で、皆から恐れられる【狂犬皇子】が、毎食おかわりを要求して離してくれません
「レティシア……お前との婚約を破棄させてもらう!」
婚約者である王太子マナヤから一方的にそう告げられ、聖女カスミィにその座を奪われた公爵令嬢レティシア。
ここが乙女ゲームの世界であり、自身が『加護なし』のコンプレックスから性格を歪ませる悪役令嬢であることは、幼少期に前世の記憶を取り戻した時から知っていた。
前世の記憶のおかげで心が歪むことはなく、ただ大好きな料理を作りたかった彼女。
しかし、厳しい王妃教育に縛られ、厨房に立つことすら許されない日々を送っていた。
だからこそ、婚約破棄を突きつけられた彼女の胸の内は……大いに歓喜していた。
( これで王妃教育から解放される!)
厄介払いとして、極寒の隣国にいる【狂犬皇子】ルークの元へ嫁がされる過酷な条件ではあったが、自由に料理ができるのならと、彼女はあっさりと婚約破棄を受け入れる。
そうして極寒の地へ降り立ったレティシアは、さっそく温かいご飯を作るべく腕を振るい始める。
旨味たっぷりの野菜ポタージュ、肉汁溢れるハンバーグに、ふっくらと焼き上げた発酵パン。
前世の知識と丁寧な下ごしらえから生まれる「あったかご飯」。
その美味しそうな匂いに釣られ、辺境の人々のみならず、魔力の塊である精霊たちまでもがこぞって彼女の周りに集まってくる。
そして、人間不信で周囲から恐れられていた狂犬皇子ルークもまた、彼女の作る優しく温かい料理に、凍てついていた心を溶かされていき――。
「……おかわり、あるか?」
いつしかルークは毎食おかわりを要求するようになり、レティシアを心から溺愛し、手放せなくなっていく。
一方その頃、婚約破棄を成し遂げて浮かれているマナヤは、加護を持たずとも料理を通じて精霊たちから深く愛されていたレティシアを失ったことで、自分たちの王国が徐々に傾いていくことに、まだ気づいていなかった……。
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