純文学[文芸]

ムナゲッティー・ビートソース

 ムナゲッティーを注文した。

 ソースはイートソース、ハートソース、ビートソースの中から迷ってビートソースにした。

「お待たせしました。ムナゲッティー・ビートソースでございます」

 無愛想な、黒ぶちメガネにメイド服のウェイトレスに俺は質問した。
「これは何?」

「ムナゲッティー・ビートソースでございます」

「……俺、スパゲッティー・ミートソースと間違えて注文しちゃったんですけど」

「知るか」

「でも見た目はまんまスパゲッティー・ミートソースだよね。どこが違うの?」

「麺にデュラム・セモリナ小麦粉ではなく、オッサンの胸毛を使用しております」

「へえ〜……。ソースは? どう見てもミートソースにしか見えないんだけど」

「その通りミートソースでございます」

「じゃあミートソースって書けよ。わかりにくいよ」

「胸毛に肉《ミート》ソースでは少々暑苦しいと思いまして、スマートなビートを効かせてみました」

「ふ〜ん。じゃ、いただきまーす」



 噛み切れなかった。

 これがアルデンテというやつか!!



残酷な描写あり / 麺類短編料理企画
短編 2024/10/05 22:28更新
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最終取得日時:2025/07/09 12:21
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