突然、名門ヴァレンティア公爵家の“継姉”になった伯爵令嬢リセル・カリナイト。
再婚相手の娘というだけの立場、母は豪奢な暮らしに夢中で、実の娘にも関心を向けない。
父親である公爵は、過去の傷に囚われ、双子の子どもたちと向き合おうとしない。

けれど、出会ってしまった。
人知れず寂しさを抱える弟セラフィオスと、双子の兄以外に誰にも心を開かない妹セラフィー。
その目に宿っていたのは、かつて前世の保育士だったリセルが、幾度も見てきた“助けを求める子ども”の瞳だった。

「今度こそ、私はこの手で守りたい」

そう決意したリセルは、知識と愛情で少しずつ心の距離を縮めていく。
だが弟妹だけでなく、冷たかったはずの父、周囲の人々、そして――とある若者たちの目にも、リセルの存在が映り始めて……？

これは、家族になれなかった人たちが、
“本当の絆”と“想い”を見つけていく物語。