コメディー[文芸]

スパイの寝言

 某所。任務中に捕らえられてしまったエリートスパイ、エージェントシックスは眠ることも許されず、拷問を受け続けていた。

「ぐっ!」

「もういい、やめろ」
「フーッ! フッー! フッー!」

「さすがはエリートスパイ。もっとも、噂でしか聞いたことがなく、姿はおろかコードネームしか知らないがね。でも、君なんだろ? エージェントシックス」

「……さあね。何を言っているのかわからないけど、まず、そちらが名乗るべきじゃないかな? それとも僕もあんたの隣の男のように、女王様とお呼びすればいいかな?」

「女王様?」

「あんたがその趣味の悪いマスクを着けた男の女王様なんだろう? まったく、鼻息が荒くて敵わないよ。マスクの下に口枷を着けさせているのかい?」

「はははっ! ユーモアまである男とは思わなかったよ。君の組織はそんな訓練もあるんだね。さあ、その調子でそろそろ話してはくれないかな。君たちの計画、拠点、仲間の数と特徴、そして配置を教えてくれ」

「いいとも。でも、まずは紅茶を一杯もらえるかな。バターたっぷりにね。あとはふかふかのベッドと、ぐっ!」

「おー、ははは、慣れないことをするものじゃないな。手が痛いよ。拷問は引き続き、彼に任せるとしよう。楽しんでくれたまえ」
「フッー! フッー!」

「ぐ、ううぅぅぅ、ああああ……」

「しかし、そろそろ次の段階に移行しようか。治る怪我はここまでだ。まずは片目から……と、気絶したかな? おい、水を持ってきてくれ」

「…………仲間」

「ん?」

「……数は四人だ」

「ほう、ようやくか。しかし、言っておくが下手な嘘は身のためにならないぞ」

「……」

「どうした、続けたまえ……ん?」

「……」

「……まさか、眠っているのか?」

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短編 2024/08/15 11:00更新
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最終取得日時:2025/07/09 12:24
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