ヒューマンドラマ[文芸]
冤罪処刑の寸前に周囲が慌て始めましたが、もう来世に期待しますので構わないでください。
「ふん……陰気だな。まだ自分は偽者ではないと言いたいのか」
それはもうこれまで、何度も主張してきた事だ。何を言っても誰も話を聞かず、既に処刑執行が決まったという状況で、今更何を言えと。
「今度はだんまりか……相変わらず我々をイライラさせるのが上手いことだ」
「では、一日でも早く処刑なさることですね」
「言われずともするさ、予定通りにな。また会おう、死刑囚アネモネ」
そう吐き捨てた殿下は、来た時と同じく整然とした歩調で、地下牢から去っていった。
「…………疲れた」
砕かれ、曲げられてまともに動かせなくなった手足。足りない食事。そして両親と妹、婚約者だった殿下から浴びせられる罵詈雑言と、有象無象から浴びせられる絶えない嘲笑。
もう、疲れた。何もかもどうでもいい。
「来世では、もっと平凡で、温かな人生を送りたいな……贅沢は、言わない、から……」
最後の祈りは、自分の為だけに捧げると、心に誓っていた。
シリアス / ダーク / 女主人公 / 西洋 / 中世 / 魔法 / 聖女 / 後悔 / 断罪 / トゥルーエンド / R15 / 残酷な描写あり
短編
2025/04/28 07:00更新
10,847字 43%
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最終取得日時:2025/05/04 12:06
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