21世紀が終わろうとしている時期、人類は太陽質量の10倍で、光速の20％という異常な速度で太陽系に向かってくるブラックホールを観測した。
想定衝突時期は、約7,000年後。

多くの人々は、遠過ぎる未来の脅威に対策すら必要無しと放置を選択。
大半の学者たちもまた、その途方もない距離と大質量を前に対策を考えるのを諦めた。
否、将来の人類に委ねる他ないと考えた。

しかし、一部の富豪・科学者・技術者たちは、この「運命」を覆すため、現代の技術でも対処可能な、いくつもの極秘計画を発動する。
それらが比較検討され、やがて一つの案に辿り着く。
その最終手段として選ばれたのは、ブラックホールという特異点を破壊出来ないかという、人類史上最も危険な「思考実験」だった。
だがそれは、成功率限りなく0%に近く、成功しても生還率0％と算出される危険なミッションであった。
そんなミッションに、自らの命を賭け、時間と重力の極限へと突入する者が居るのであろうか？
150年をかけた人類の悪あがきが始まる。