ヒューマンドラマ[文芸]

小銭貯金

「うっ、重いな……よしっと……」

 おれは小銭がぎっしり詰まった大きな果実酒瓶を部屋の中央に運び、見下ろした。よくもまあ、ここまで貯めたものだと我ながら感心する。
 キャッシュレス化が進む時代だが、おれは電子マネーの仕組みがどうも肌に合わず、現金ばかり使っている。そうして財布が釣銭でパンパンになると、面倒だからそのまま瓶に放り込んでいた。
 気づけば、瓶の中身はほぼ満杯。その上、いつの間にかATMは小銭を受け付けなくなり、銀行の窓口では両替に手数料がかかるようになっていた。
 そんなわけで、ぼちぼちこの小銭を使うことにしたのだ。夜だし、今から全部を整理するのは面倒だ。とりあえず、五百円玉を何枚か取り出そう。

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短編 2025/04/17 11:00更新
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最終取得日時:2025/07/09 12:11
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