ヒューマンドラマ[文芸]

呪いに効く薬

 ある日、とある町医者のもとを、一人の男が訪れた。
 その顔はどんよりと曇り、眉と口元が情けなく垂れ下がっている。まるで辞書の『不幸』という項目に載せるべき挿絵のようだ、と医者は思った。
 患者を安心させるのが医者の務め。いつものように明るい声と表情で問いかける。

「はーい、今日はどうされましたか?」

 男はおどおどと視線をさまよわせ、か細い声を絞り出した。

「先生……私、呪いをかけられたみたいなんです……」

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短編 2025/05/22 11:00更新
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最終取得日時:2025/07/09 12:09
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