異世界[恋愛]

跡継ぎを産めない女は要らないそうなので、産婆になりました

三年のあいだ、湯を先に沸かしてくださいと言い続けた。

布は煮てから使ってください。触れる前に手を洗ってください。

アニェスの願いは、一度も通らなかった。

この家は癒術の家だ。傷は魔法で閉じるものだと、誰もが信じている。

閉じた内側に何が残るのかを、考える人はいなかった。

三年で娘一人。跡継ぎを産めない女は要らないと告げられ、彼女は娘の手を引いて屋敷を出た。

持参金の目録に、娘の名前だけが載っていなかった。

行き先は実家ではない。産婆の親方の家だった。

湯の温度。布を煮る回数。手を洗ってから触れる順番。

誰にも聞き入れられなかった手順を、彼女はもう一度、最初から並べ直していく。

やがて、彼女を要らないと言った家のほうから、人が坂を上がってくる。

夜半に、戸を叩く音がする。

その夜、彼女は敷居を越えるのだろうか。

AI直接使用 / 異世界恋愛 / ざまぁ / 離縁 / 子連れ / 職業もの / 身分差 / ハッピーエンド / 女主人公
全10話完結 2026/07/28 13:31更新
21,945字 (2194.5字/話) 42%
日間P
-
総合P
444
ブクマ
29
平均評価
8.04
感想数
0
レビュー
0
評価頻度
165.52%
評価P
386
評価者数
48
週間読者
170
日間イン
1回
ベスト
193位
最終取得日時:2026/09/21 12:09
※googleにインデックスされているページのみが対象です