婚約破棄も公開処刑も、もう終わった──物語はその後から始まる。

王太子に婚約を破棄され、雪深い辺境ノルドハイムへ追放された公爵令嬢リリアナ。中身は前世ブラック企業に潰された社畜OL、しかもここが乙女ゲームそっくりの世界だと知る悪役令嬢でもある。

王都はこのままいけば「聖女過労→魔物氾濫→半壊」のバッドエンド一直線。
でも彼女が選んだのは、王都の再起ではなく――

北の街で、のんびりカフェを開いて生き直すこと。

地味スキル《生活鑑定》と社畜仕込みの段取り力で、雑穀から香ばしい穀物コーヒーを生み出し、小さなカフェを開店。
無愛想だけど実は甘々な辺境伯ディルクや、ツンデレ少年ノエルたちと、兵士・職人・子ども一人ひとりにぴったり効くバフ料理を出していくうち、店は「街の避難所」兼「後方支援拠点」へと育っていく。

やがて噂は王都と教会に届き、過労で壊れかけた本物の聖女、国難に追い詰められた元婚約者たちが土下座寸前で救いを求めるが──

「嫌です。私はもう、ここで幸せなので」

ざまぁは序盤で完了。その先にあるのは、
ごはんで心と国を救うカフェ聖女伝説と、無愛想辺境伯の溺愛たっぷりスローライフ長編。