空想科学[SF]

花を愛でる心

「綺麗ね……」
「ああ、本当にね……」

「ん? あら、見てないじゃないの」
「いや、ちゃんと見てるさ。本当に綺麗だ……」

「もう、馬鹿ね……」

 腕を組み、寄り添う男女。柔らかな光が二人を包み、肌を撫でる風はどこまでも優しい。笑い声は踊りながら空気に溶け、淡く色づくように広がっていく。
 彼女はふと、空から舞い降りる桜の花びらにそっと手を伸ばした。けれど、花びらは指の間をするりと抜け、くるくると舞うように風に運ばれていった。

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短編 2025/05/14 11:00更新
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最終取得日時:2025/07/09 12:10
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