異世界[恋愛]

夫が、年下の公爵夫人とイチャつくのをやめない。注意しても、「嫉妬するなよ」と嘲笑い〈モテ男〉を気取る始末。もう許せない。「遊びだった。ほんとうに愛してるのはおまえだけ」と泣きながら言っても、もう遅い!

 私、サフラン・チズム子爵夫人は、イライラしていた。
 夫コルマ子爵が、七歳も年下で、しかも既婚女性であるリンデ・ポート公爵夫人の色香に惑わされ、仕事と称しては街ブラなどの外出を繰り返し、彼女とのイチャイチャぶりを私に見せつけてくるからだ。
 他所の女とこれ見よがしにイチャつくのはやめてくれ、と言っても、夫は無視する。
「公爵夫人がサロンを開く手伝いをしているだけだから、嫉妬するなよ」と笑う。
 学園時代、他にも言い寄る男性がいた中、コルマを夫に選んだのは、自分の領地の特産品がワインだったので、利き酒ができるコルマを婿として迎え入れれば、我が家のさらなる発展が見込めると思ったからだ。
 ところが、結婚した途端、「釣った魚に餌はやらない」とばかりに、夫は私に思いやりも愛情も示さなくなった。
 さらに夫はますます若い公爵夫人にのめり込み、馬車に同乗して遠出したり、パーティーでは妻である私を無視して、公爵夫人と踊ったりする。
 ついに開かれたサロンでは、私ではなく、リンデ公爵夫人と手を繋ぎあって壇上に昇る始末だ。
 きっと夫は、私、サフランが嫌がるのを見てみたい、嫉妬して擦り寄って来てもらいたい、と思っているのだろう。
 ひょっとしたらリンデ公爵夫人相手にも「妻を愛していますから」などと言って、私たち女性二人が自分を取り合うーーそういう〈モテ男ムーヴ〉を夢見て、悦に入っているのかも。
 でもね、それだけ他の女とイチャつくのを見せつけられたら、愛情も枯れ果てるに決まってるでしょ。そんなことも、わかんないの?
 見ていなさい。
 泣いて後悔して、
 「遊びだった、ほんとうに愛してるのはおまえだけ」
 って言っても、もう遅い!

※ざまぁ系のストーリーです。

R15 / 残酷な描写あり / 女主人公 / 小娘のような公爵夫人 / サロン / カクテル / バーテンダー / 祈願祭 / 国交のない異国 / 不義密通
短編 2025/06/12 12:10更新
17,670字 13%
日間P
-
総合P
2,346
ブクマ
89
平均評価
8.03
感想数
7
レビュー
0
評価頻度
303.37%
評価P
2,168
評価者数
270
週間読者
10,964
日間イン
6回
ベスト
108位
最終取得日時:2025/07/01 12:07
※googleにインデックスされているページのみが対象です