宇宙[SF]
三分間スピーチ
「あ、あの、あのですね、あの、あの、はい、あの」
――ふふっ。
――はははっ。
「え、えと、わた、わたす、わたしは、わたすはぁぁ! あ、あ、あぁあ」
――なんで一回『わたし』って言えたのに、また『わたす』に戻ったんだよ……。
――うふふっ。
――やっぱり、あの人、ふふっ。
「え、えへへ、あの、それで、ですね、えと、なんでしたっけ、へへ」
――始まってもいねえよ。
――はははっ。
――早くしろーい。
――三分しかねーんだぞ。
「ええ、えと、はい、さんぴゅん! さ、三分間というのは、い、一瞬で過ぎ去るようでいて、永遠にも、か、感じられる時間ですよね! じ、実際、そ、そうなのかもしれません。つ、つまり、人生は、さ、三分間の、く、繰り返しであり、こ、この先の未来を左右する、貴重な時間なのです! そ、それで、さ、三分間スピーチと、いうことで、え、えと、その、私が今から何をお話するかというと……実は、私のポケットに入っていたスピーチ原稿が、今、逃げ出しちゃいました! ……え、えと、文字通り、原稿が足を生やしてですね、あ、見てください! 今、原稿がこの部屋を出て廊下に行きましたよ! 誰か捕まえて……あ、も、もう遅いですね。そ、即興でやりましょう!」
――は?
――原稿なら手に持ってるだろ。
――あのしわしわのやつ?
――何言ってんだあいつ。
未設定
短編
2024/11/11 11:00更新
2,730字 33%
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最終取得日時:2025/07/09 12:19
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