宇宙[SF]
東京ドーム通い
――ビビーッ! ビー! ビー!
「え、あれ、おかしいなぁ、あはは、すみません、ちょっと行ってきますね……」
朝。改札機に通行証をかざしたのだが、エラーが出てしまい、おれは後ろに並ぶ人に軽く頭を下げて列から離れた。守衛のもとに向かい、声をかける。
「あ、あの」
「はい? なに?」
「あ、改札機が不調みたいで通れなくて……あそこのですけど」
「え? 問題なく使えているみたいですけど」
「え、あれ、本当だ……あ、ははは……」
「はぁ……。ああ、そういえばさっき、あの辺りで暴れた馬鹿がいましてね、そのせいかなぁ」
「暴れた馬鹿……?」
「そそ、デモですよ。まったく……はーあ。ほら、見せて」
「あ、す、すみません……お手数をおかけして……」
「ああ、いえ。今のため息は、ひとりでデモをやっている馬鹿に対してですよ。ま、どうでもいいですけどね。では通行証を拝見……はいはい、どうぞここから通っていいですよ。十八時までに退去をお願いしますね」
「あ、はい……どうも」
「よっ」
「うおっ」
改札機を通り、通行証をポケットにしまったタイミングで後ろから声をかけられ、おれは驚いた。振り返ると、そこにいたのは同僚の山本だった。奴はニヤニヤ笑いながら「なんか怒られてたなぁ。馬鹿とかさぁ」と言った。
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2024/05/31 11:00更新
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最終取得日時:2025/07/09 12:27
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