異世界[恋愛]

婚約破棄されたので家を追い出されると思ったら——なぜか家族全員が王家と縁を切り、私を囲い込んできました

舞踏会の夜、三年間の婚約生活に終止符が打たれた。
「地味だ」「役に立たない」「マリエの方が魅力的だ」——カイル王太子殿下の口から零れたのは、たった三年間で積み上げた私のすべてを塵のように払い落とす言葉だった。公爵令嬢リリィは震える膝を隠しながら深く一礼し、その場を去った。
帰り道、馬車の中でひとつだけ確信していたことがある。
家に帰ったら——きっと、追い出される。
父を失望させた。母が丹精込めた社交界での信頼に傷をつけた。優秀な兄たちの足を引っ張った。公爵家の令嬢として王家との婚約を破棄されるなど、これ以上の失態があるだろうか。叱責を覚悟して、冷たい沈黙を覚悟して、リリィは震える手で書斎の扉をノックした。
「お父様。カイル殿下に婚約を破棄されました」
父の返答は、一言だった。
「そうか。では王家とは、縁を切ろう」
——え?
困惑するリリィを包んだのは、叱責でも失望でもなかった。「よく頑張ったわね」と頬に手を添える母。「むしろ遅いくらいだ」と腕を組む長兄。無言でそっと頭を撫でる三兄。飄々と笑いながら翌朝から動き出す次兄。
そしてリリィは初めて知ることになる——自分の家が、この王国の「本当の基盤」であることを。
軍の補給の六割を握る公爵家。王都の物流の四割を束ねる商会。王城の魔法陣を支える術師たちを掌握する魔法省との繋がり。社交界の情報網を静かに制する母。王家は"旗印"に過ぎず、国を実際に動かしていたのは——フォーリン公爵家だった。
家族が静かに動き出すと、王城はじわじわと軋み始める。物資が滞り、補給が遅れ、経済が鈍り、魔法陣に乱れが出る。派手な攻撃など何もない。ただ、止まっただけ——それだけで王家は初めて気づく。自分たちが何の上に立っていたのかを。
焦ったカイル殿下が屋敷へ押しかけ「戻ってこい」と頭を下げたとき、リリィの答えは決まっていた。
「戻りません」
守られることで、初めてわかった。自分が"捨てられる側"ではなく、"守られる価値がある存在"だったことを。そして今度は——守られるだけでなく、この家を支える側に立つと決めた。
家族溺愛×逆転×ちょっぴりざまぁ、安心感たっぷりの公爵令嬢物語。

婚約破棄 / 公爵令嬢 / 溺愛 / 逆転 / ざまあ / 追放系 / チート家族 / 無自覚令嬢 / スローライフ / ハッピーエンド / 令嬢無双 / 内政チート / 経済 / 軍事 / 魔法
短編 2026/05/09 21:40更新
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最終取得日時:2026/05/12 12:07
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