元天才子役の男子高校生、女装をして、女優科高校に入学する。
春。桜が咲き誇り、新生活が始まる季節。
暖かな陽光が降り注ぐ中、横を通り過ぎていく女子高生たちは「キャッキャッウフフ」と楽しげな笑い声を溢している。
そんな和やかな空気の中、オレはというと‥‥何故か女装をして、一人、女子高の校門の前で突っ立ていた。
「‥‥はぁ。オレ、これからこの学校に通わなきゃならないんだよな」
オレの名前は柳沢 楓馬。十五歳。
ひょんなことからある悪女に弱みを握られて、女装をして女子高に通うことになってしまった、哀れな男子高校生だ。
それも、何故か芸能科の高校で、女優を目指さなければならないという‥‥意味の分からない状況に陥ってしまっている。
確かにオレは幼少の頃、子役として名を馳せた経験はあったが、それは五年も前の話だ。
今のオレはどこにもいる、ただの童貞の男子高校生でしかないだろう。
「本当、何でこんなことになっちまったんだろ‥‥。この世界に神がいるというのならば、何故、オレにこんな試練を与えたのかをちゃんと説明してもらいたいところだぜ‥‥」
「――――じゃあ、代わりに私が説明してあげるわ。それは、貴方が単に迂闊だったからよ」
背後を振り返ると、そこにはオレをこの状況へと追い込んだ元凶、長い黒髪の美少女の姿があった。
彼女は紅い眼を嗜虐に細めると、ニコリと微笑み、口を開く。
「あの写真をネット上にバラまかれたくなかったら、私の命令通りに、この学校で男性であることを隠し、トップの女優を目指しなさい。貴方に残された道は、それしかないのだから」
「へいへい。分かってるよ。せいぜいボロが出ないように、足掻いてみせるさ」
これからオレは、この女子高―――花ノ宮女学院で、偽りの女性として暮らしていくことになる。
男だということがバレたら即アウト、そんな過酷な状況の中で、オレは芸能人の卵である美少女たちと共に、女優科のトップを目指して奮起していかなければならない。
改めて考えると意味が分からない状況だが、仕方がない。
腹を決めて、偽りの女優―――――『如月 楓』を演じて行くことにしよう。
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