空想科学[SF]

おれのクローン

「あっ」

「えっ、おっ」

 先に気づいたのは向こうだった。おれたちは足を止め、互いをじっと見つめ合った。
 通行人と肩がぶつかり、二人とも苦笑いした。向こうが指で『あっちで少し話そう』と合図を送り、おれたちは駅構内の人混みを縫って壁際まで歩いた。

 向こうが口を開きかけたので、おれは慌てて「あー、よう」と声を出した。先に話を切り出したかった。向こうに先に気づかれたことが少し悔しかったのだ。『おれがオリジナルなのに』と。

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短編 2024/12/12 11:00更新
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最終取得日時:2025/07/09 12:18
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