ヒューマンドラマ[文芸]
発見と死
「おとーちゃん、ここくらいよ、こわいよー!」
「大丈夫だ。大丈夫……」
暗がりの中で息子の細い腕が、おれの腕にしがみついている。凄まじい揺れだった。まるで大地そのものが悲鳴を上げたかのような振動。いったい何が起きたというのか。息子と一緒だったことが、唯一の救いだが――いや、しかし、それもまだわからない。
「ぼくたち、どうなっちゃったの? あれ、なんだったの? お空が急にくらくなって、すごくゆれて、こわかったよお」
「大丈夫、大丈夫だから。落ち着きなさい……」
そう言いながら、おれは自分にも言い聞かせるように心の中でその言葉を繰り返していた。大丈夫だ、こうして生きている。しかし――。
未設定
短編
2025/06/28 11:00更新
1,351字 76%
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最終取得日時:2025/07/09 12:07
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