MBAの称号を取得し、いっぱしのビジネス手法を一通り身につけたはずの会社員、溝口基（みぞぐちもと）は経験則と体育会系のノリ、そして教祖のごとく崇められるカリスマ経営者の無頓着な言動がはびこる会社では鼻つまみ者だった。
　ある日、電車の中で唯一の趣味、週刊漫画雑誌を読み耽る基の隣に不審なオッサンが座った。オッサンは彼が読むマンガを横から熱心に読み始める。薄気味悪いなと思った基はオッサンにマンガを譲り家路に着いたが、途中、追いかけてきたオッサンに呼び止められてしまった。
　不審に思う基になんとか説明をしたオッサンだったが、その正体を聞いて基は驚く。なんとオッサンはその漫画雑誌にビジネス漫画の連載を持つ漫画家だった。
　ビジネスのプロで漫画は消費者に過ぎない基が、プロの漫画家だがビジネスは素人のオッサンにアドバイス。二人の運命の歯車はが回り始める……。
　時代の波に乗ってしばらく好調だったに過ぎない基の会社は激動の歯車の中でどうなってしまうのか？短編ビジネスファンタジー（全六話）