異世界[恋愛]
役目は終わりましたね。~ずっとあなたをお慕いしておりました~
三年間、伯爵家の帳簿を一人で回した。 領地の税収も、農民への薬の配布も、 来客の茶の手配も、全部私がやった。
見返りは冷え切った食事と六畳の離れ部屋。 夫は私の名前すら呼ばなくなっていた。
ある日、夫が告げる。 真実の愛を見つけたから契約は終わりだ、と。 隣には実の妹がしがみついていた。
泣くと思われていた。 縋ると思われていた。 私は完璧な礼で一礼し、署名済みの離縁状を差し出した。
裏口からひとりで出ようとした夜。 壁のように寡黙だった従騎士が、 見たこともない礼装で立ち塞がっていた。
あの男は三年間、何も言わなかった。 ただ深夜の執務室の灯りが消えるまで、 毎晩廊下に立っていたのだという。
彼が差し出したのは同情ではない。 隣国の名を背負った、ある提案だった。
なぜ従騎士が国家の保護を口にできるのか。 なぜ私の調合した薬草が他国を動かすのか。 そして彼が三年間隠していたものは何か。
冷えたスープしか知らなかった女の手を、 誰かが初めて温かいものとして握った。
その手を取るかどうかを、まだ私は決めていない。
女主人公 / 西洋 / ハッピーエンド / ざまぁ / 契約結婚 / 追放 / 溺愛 / 身分差 / 魔法 / 不遇令嬢 / 隣国の王子 / 婚約破棄
全13話完結
2026/03/04 12:04更新
21,910字 (1685.4字/話) 34%
21,910字 (1685.4字/話) 34%
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最終取得日時:2026/03/11 12:05
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