ヒューマンドラマ[文芸]

マラソンとは

 この日、鳥たちは歌い、空は青く澄んでいた。ああ、確かに『いい天気』だ。……しかし、おれは嘲笑されているようにしか感じない。もちろん、これはこっちの感じ方に過ぎないということはわかっている。
 昨夜は久々に少年の頃に戻ったような気分で眠りについた。ワクワクしていたわけじゃない。『神様、どうか明日は雨を降らせてください』と願っていたのだ。でも、神など存在しない。それはもう知っている。
 おれはこの日、町のマラソン大会に参加することになっていた。いや、正確に言えば『参加させられた』のだ。スタートラインに立ち、開始の合図を待っている今、体と意識がばらばらになっているような感覚があった。

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短編 2024/11/20 11:00更新
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最終取得日時:2025/07/09 12:19
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