その他[その他]
誰のための天国か
死んだおれは驚いた。そう、死んだこと自体に驚いたのではない。死ぬことは苦でも何でもなく、恐れてもいなかった。むしろ生き続けることが、とまでは言わないが、おれは死を待ち望んでいたのだ。
妻と息子に先立たれてもなお、長生きした身だから、そんな考えを抱くのも不思議ではないだろう。
驚いたのは他のことだ。まず、天国に来られたことにはほっとした。長生きした分だけ人に迷惑もかけたし嫌なこともしただろう。もっとも、警察の世話になるようなことはしなかった。税金をちょろまかせないかと画策したことはあったが、つまりまあ、平均的普通人だったのだろう。そして、それは天国入りの基準を満たしていたと。
おれがここに来られたのなら、妻も息子もここにいるはずだ。会いたい。なのに……
未設定
短編
2024/07/24 15:00更新
956字 50%
956字 50%
日間P
-
総合P
10
ブクマ
0
平均評価
10
感想数
0
レビュー
0
評価頻度
-
評価P
10
評価者数
1
週間読者
-
日間イン
0回
ベスト
圏外
最終取得日時:2025/07/09 12:25
※googleにインデックスされているページのみが対象です