レザーク王国の子爵令嬢フィリス・コッドには、前々世と前世の記憶がある。
前々世では、無実の罪で稀代の悪女として処刑された。
前世では奇跡の力をもつ聖女として生まれ、献身の末に命を削られて死んでしまう。
そして時が経ち、今世のフィリスは王国の片田舎に領地をもつ貧乏貴族、コッド子爵家の平凡な娘として三度目の生を受ける。
成長したフィリスは王国が存続危機に陥った過去の歴史を知り、前々世と前世の自分の死が引き金になって起こったかのようなその悲劇に愕然とする。
そして、王国が三度目の悲劇に見舞われることのないよう願い、固く心に誓った。
今世は平穏に暮らしたい──。
しかし、ある日突然、なぜか由緒ある公爵家の子息セドリックから、初対面でプロポーズされて──。

-悪女と聖女のふたつの記憶をもつ子爵令嬢は、なぜか公爵子息に執着され、今世ではしあわせな花嫁になるお話-