異世界[恋愛]

人形のような公爵令嬢はお断りです。〜暖炉の灰で手紙を読める私は、自分の足で歩きます〜

毎朝、暖炉の灰を拾う公爵令嬢がいる。
周囲は彼女を「人形のよう」と呼ぶ。
感情がない子。何も考えていない子。
違う。
リーネは灰の中の燃え残りから、手紙の断片を拾い続けていた。
一文字ずつ、暗号に変えて、誰にも見せずに。
母が死の間際に残した言葉だけを頼りに。
「暖炉を見ていなさい」。
母がなぜそう言ったのか、まだ分からない。
だが灰の量が急に増えた日、王家から調査官が来た。
その男の指は、リーネと同じように黒かった。
二十歳の誕生日まで、あと四十日。
父は何かを急いでいる。
母の領地が、知らないうちに動かされようとしている。
冷めたスープ。暖炉のない北向きの部屋。
名前を呼ばれるのは、命令の時だけ。
それでも手は止めなかった。
灰は答えをくれない。
断片しか残さない。
けれど拾い続けた記録が、意味を持つ日は近い。
人形の指は、ずっと動いていた。

女主人公 / ハッピーエンド / ざまぁ / じれじれ / 逆転 / 不遇 / 秘密 / 公爵令嬢
全15話完結 2026/05/27 12:48更新
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最終取得日時:2026/09/20 12:11
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