ヒューマンドラマ[文芸]

王が見たかったもの

「王様、お体が拭き終わりました。他に、私たちにお申し付けたいことはございますか……?」

「……いや、もうよい。下がれ」

「はい……」

 女たちは火明かりを揺らし、王の寝室から足早に立ち去った。肩を震わせ、すすり泣く声を引きずって。

「王、失礼いたします」

「ああ……」 

 側近が静かに入室した。ベッド脇に膝をつき、王の手の甲にそっと口づける。冬の枯れ枝のように細った腕は、血の気を失って冷えきっていた。その冷たさが胸を締めつけ、側近は思わず目を伏せた。
 王は浅い息を吐くと、喉を震わせ、短く咳き込んだ。側近は慌てて立ち上がり、そばのテーブルの水差しに手を伸ばしたが、王は弱々しく手を振って制した。

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短編 2025/11/28 11:00更新
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最終取得日時:2026/09/14 12:22
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