異世界[恋愛]

妹が「白いマントは私の方が似合います」と言うので、英雄の婚約者席も凱旋式の役目も譲りました。ですが遺族席を忘れていたようです

「英雄の隣に立つなら、白いマントはわたくしの方が似合いますわ」

侯爵令嬢リディアは、王国の若き英雄アルバートの正式な婚約者として、凱旋式の準備を支えてきた。

凱旋式は、勝利した英雄を讃える華やかな式に見える。

だが実際は、帰ってきた兵だけでなく、帰らなかった兵の名を呼び、遺族へ敬意を示し、負傷兵の導線を守る「帰還と追悼」の式だった。

妹イレーネはその意味を知らないまま、英雄の隣に立つ白いマント姿に憧れ、アルバートも彼女を選ぶ。

ならば、とリディアは婚約者席も凱旋式の役目も静かに譲った。

迎えた凱旋式当日。

妹は花と音楽を増やし、戦死者の名を省き、遺族席を後ろへ下げた。

そして英雄の隣で微笑んだ瞬間、最前列にいるはずだった遺族たちが立ち上がる。

負傷兵たちは敬礼を下ろす。

民の拍手は、止まった。

凱旋式が崩れた広場でリディアを見ていたのは、王国軍総司令官である辺境公爵だった。

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短編 2026/05/18 18:10更新
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最終取得日時:2026/05/23 12:05
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