ヒューマンドラマ[文芸]

アピール

『発見された遺体は未だに身元が判明しておらず、犯行の残忍さに、地域住民の不安は高まって――』

 夜、とあるアパートの一室。テレビに映るニュースを眺めていた男は、リモコンを手に取り、そっと電源を切った。暗くなった画面に映った自分を少しの間見つめ、彼はふーっと息を吐き、天井を仰いだ。
 その様子を見ていた彼女が歩み寄り、隣に腰を下ろして小さく笑った。

「ふふっ、どうしたの? お疲れ?」

「ああ、まあね……。一段落ついたってとこかな」

 男は目頭を指で揉みながら、肩を軽く回した。彼女はそんな彼の背中にそっと腕を回し、ぴたりと身を寄せた。
 彼もかすかに笑い、その手に自分の手を重ねた。

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短編 2025/06/14 11:00更新
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最終取得日時:2025/07/09 12:08
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