空想科学[SF]

人類復活の夢

 太陽は雲に押し退けられ、地上は陰鬱で荒廃と化していた。吹きすさぶ風が大地を覆う砂を巻き上げ、岩と木を削るような音を立てている。まるで果てのない怒りをぶつけるかのように。
 その中に動く影があった。はためき、今にも風に奪われそうなその身に纏ったボロ切れを、彼は手で押さえる。一歩一歩、この大地を踏みしめるように歩くその姿も、また怒りを内包しているかのようであったが、彼の内にあるのはただ削り取られまいとする心、虚無への抵抗心だった。

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短編 2024/07/04 11:00更新
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最終取得日時:2025/07/09 12:26
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