異世界[恋愛]

「君は後回しでいい」と言われ続けた婚約者ですが、待たされた三年で王都中の「一番」になっていました ~破棄された翌朝から、玄関に招待状が積み上がっていく~

伯爵令嬢レギーナ、十九歳で婚約。
婚約者の口癖は「君は後回しでいい」。

最初にすっぽかされた観劇の夜、彼女は決めた。
「待つなら、座って待ちません」

待ち時間には作法がある。
その場でいちばん忙しい人の隣に立ち、手を貸し、困りごとを一つ聞いて、次に来るとき答えを持ってくる。

三年後――二十二歳。
借財の完済が届いた晩の夜会で、婚約は破棄された。
「これで君を待たせる理由も、君に待ってもらう理由もなくなった」

ところが、翌朝から。
彼女の玄関に、招待状が積み上がっていく。
「一番にお知らせしたくて」「一番に袖を通してほしくて」
王都の目抜き通りに、彼女を「後回し」にする者は、一人もいなくなっていた。……当の元婚約者を除いて。

そして王都でただ一人、招待状を持って来ない男がいる。
若き公爵ジークヴァルトは、夕暮れの玄関で言った。

「招待状は、持って参りませんでした。あなたの空いた時間は、あなたのものです」

待たされる側から、選ぶ側へ。
三年かけて待ち時間を作法で埋め続けた彼女は、何の予定もない時間の過ごし方だけを、まだ知らない。


ハーメルン、小説家になろう、カクヨムで同時連載中

BK小説大賞2 / 集英社小説大賞7 / コミックルーム大賞 / ESN大賞11 / 女主人公 / ラブコメ / 婚約破棄 / ざまぁ / 溺愛 / 勘違い
全29話完結 2026/08/02 16:30更新
78,460字 (2705.5字/話) 39%
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最終取得日時:2026/10/07 12:09
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