異世界[恋愛]
第十王子と本の虫
怒りっぽくて、短慮だけど、素直な人なのだな。性格的に私とは合わなさそうだけど、仕事上のパートナーとしては、やれないこともないかもしれない。
「まだお仕事が無いようでしたら、続きを読みたいのですが、よろしいでしょうか」
「はあ……別に許可なんていい。これから長い付き合いになるんだ、読みたい時は勝手に読め」
曇天の隙間から覗いた光明を頼りに、私は読書の続きに取り掛かった。気持ちが少し晴れたからか、先ほどよりもページを捲る手が軽い。気が付けば、手の震えは完全に止まっていた。
「……なあ、そんなに読書が好きなのか」
「他の趣味を知らないだけです。家では他にやることも無かったので、空いてる時間に本を読むのが当たり前になってまして」
「哀れだな。読書なんて、机に向かって椅子に座ったら、後はずっと暗記しながらページを捲る作業じゃないか」
「それは読書じゃなくて、暗記のお勉強でしょう」
「読書とはそういうものだろ?」
「全然違います」
これだけの本に囲まれながら、読書の楽しみ方も知らないとは。仕方ない、私が教えて差し上げよう。
ネトコン13 / ほのぼの / 女主人公 / 西洋 / 日常 / 青春
短編
2025/06/22 10:51更新
27,962字 61%
27,962字 61%
日間P
222
総合P
8,956
ブクマ
429
平均評価
9.15
感想数
5
レビュー
0
評価頻度
206.29%
評価P
8,098
評価者数
885
週間読者
-
日間イン
9回
ベスト
16位
最終取得日時:2025/07/01 12:06
※googleにインデックスされているページのみが対象です