コメディー[文芸]

接客態度

 深夜、客の数が疎らになったファミレスにひとりで入店した彼は、席に座って手を挙げた。

「……すみませーん」

『……』

「あの、すみません、あの」

『……チッ。なんだよ』

「え、なんだよ? なんだよ?」

『はははっ、おめーが繰り返すのかよ』

「はぁ!?」

「あ、あ、お客様どうなさいましたか!」

「え、ああ、あなた、店長さんですね。こちらの店員さんの接客態度はどういうことですか?」

「いやぁ、それがその……ちょっと君、どうしてホールにいるんだよっ。奥にいるように言っておいたじゃないか!」
『っす』

「あのー、確認なんですけど、そちらの店員さんはアンドロイドですよね」

「……ええ、見てのとおり、彼はアンドロイドです。実は、本社のほうが近年、ロボット事業に力を入れておりまして、それで系列グループであるこのファミレスにも導入することになったのですが……。ははは、いやぁ、お恥ずかしながら私、見てのとおり、ほら、おじさんじゃないですか。だから、どうもこういった機械の扱いは苦手でして」
『人を機械扱いすんじゃねえよ!』

「ちょ、今蹴られましたけど、大丈夫ですか!?」

「ええ、うぅ……えっと、それで最初のうちは素直に働いてくれていたんですけど、搭載されている人工知能が、いろいろ学習するらしいんですよね。それで、その結果、こんなのになってしまいました……」
『こんなのってなんだよ! 舐めてんじゃねーぞ!』

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短編 2024/09/18 11:00更新
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最終取得日時:2025/07/09 12:22
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