ヒューマンドラマ[文芸]
遺言伝言ゲーム
「おじいちゃん……ぐすっ、ぐすっ」
「うえーん」
「お父さん……」
「親父……」
灰色の雲が低く垂れこめる空の下、時代から取り残されたかのように静かに聳え立つ大豪邸、曾根山家。その当主、曾根山源蔵は長きにわたる闘病生活の末、ついに息を引き取った。享年九十四。大往生だった。
その訃報を聞いた親族一同が駆けつけ、和室で布団に横たわる彼を囲む。
「……ほんと、無駄に長生きしやがってよお」
「兄さん、なんてことを言うんだ!」
「そうよ! 非常識だわ!」
長男の一成が吐き捨てた言葉に、すぐさま次男の修二と長女の麗美が同時に声を上げた。その反応の速さに、一成は思わずふっと笑みを漏らし、次に鼻で笑って言い返した。
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短編
2025/06/10 11:00更新
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最終取得日時:2025/07/09 12:08
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