異世界[恋愛]

聖女をクビにしたら国が詰んだ

十年間、誰にもここにいてほしいと言われなかった。
王都の筆頭聖女フラウは、第一王子にクビを告げられた。お前の代わりなどいくらでもいる、と。泣かなかった。
もう十分だと思ったから。
後任の聖女が連れてこられた。フラウは最後に神鏡テストを進言した。握りつぶされた。
引き継ぎ書三百頁を残して、王都を去る。
翌朝、結界が消えた。神獣が餌を拒否した。祝祭の段取りを知る者が誰もいなくなった。
代わりはいるはずだった。なのに国は、静かに壊れ始める。
辺境の古神殿にいたのは、無愛想な神官長と見た目八歳の子ども神。神官長は好みの茶葉を備品だと言い張る。毎朝届く花を、たまたまだと言い張る。
子ども神はおやつをねだり、厨房を爆発させる。夜になると膝の上で眠りながら、ここにいてよと言った。
十年で初めて聞いた言葉だった。
フラウのいない王都が崩れていく。フラウのいる辺境が満ちていく。
備品でもたまたまでもないものに、フラウはまだ気づかない。

ハッピーエンド / ざまぁ / 女主人公 / 聖女 / 神官長 / 両片思い / ほのぼの / コメディ
全10話完結 2026/05/09 13:27更新
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最終取得日時:2026/05/11 12:05
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